適応疾患

腸骨筋による痛み

  1. HOME >
  2. 適応疾患 >

腸骨筋による痛み

こんな症状で悩んでいませんか?

  • 股関節が痛くて足が上がらない
  • 蹴る動作で股関節に痛みが走る
  • 腰は平気なのに足だけ痛い
  • 太ももの痺れが治らず不安
  • 病院で原因がわからず困っている

一つでも当てはまる場合、その股関節の痛みや足のしびれは、 股関節そのものではなく、股関節の奥にある「腸骨筋」という筋肉が 原因になっている可能性があります。

このページでは、腸骨筋がなぜ股関節痛や足の神経痛を引き起こすのか、 どのような仕組みで起きているのか、 そして改善のためにどのような考え方があるのかを、 できるだけわかりやすく解説します。

「痛みの場所」と「原因の場所」が離れていることがある

腸骨筋は、骨盤の内側(腸骨窩)から太ももの付け根(小転子)にかけて 付着する筋肉で、股関節を曲げる・外側にひねる動きに使われ、 大腿神経に支配されています。

腸骨筋は、隣り合う大腰筋とまとめて「腸腰筋」と呼ばれますが、 大腰筋だけを痛めることも、腸骨筋だけを痛めることもあります。

大腰筋だけを痛めた場合は、いわゆる「ぎっくり腰」です。 大腰筋が痙攣することで股関節が伸ばせなくなり、 「腰が痛くて立てない」という訴え方になります。

一方、腸骨筋だけを痛めた場合は、足を上げる動作の多いスポーツで 起こりやすくなります。たとえば、サンドバッグを蹴った瞬間に 股関節に痛みが走り、足を上げようとすると膝が上がらなくなる。 それでいて腰には痛みがなく、立つ・伸ばす動作は普通にできる。 こうしたケースは、腸骨筋単独の損傷であることが多くあります。

つまり、大腰筋は「腰を含めた」股関節の屈曲に関わり、 腸骨筋は「腰を含めない」股関節の屈曲に関わっています。

ただし、腸骨筋はここが分かりにくいところで、例外も多い筋肉です。 大腰筋と腸骨筋はほぼ同じ場所に付着し、ほぼ同じ動きをする筋肉なので、 どちらか一方の緊張が長く続くと、もう一方も異常な緊張状態になります。

長期間、大腰筋が過緊張になっていた場合、 気づかないうちに腸骨筋まで過緊張になっていることが多くあります。 この状態では、大腰筋だけに鍼をしても十分な改善は得られません。

ここで一つ、考えてみてほしいことがあります。

「あなたが今受けている治療は、どこに向けられていますか?」

湿布や痛み止め、電気治療(低周波・干渉波)などは、炎症や筋肉の緊張を 一時的に和らげるためのアプローチです。それ自体は必要な場合もあります。 痛みが強いときに、まず楽にすることは大切です。

しかし、痛みが長引く・繰り返す場合、「痛みを減らすこと」と 「痛みが長引く理由に対処すること」は、別のことです。

痛みはあくまでも現象・結果です。股関節や足に感じる痛み・しびれが 「その場所だけの問題」とは限りません。姿勢の崩れ、筋力のアンバランス、 身体の使い方のクセなど、蓄積した負担が股関節まわりに集中することで、 痛みという現象が続いている場合があります。

痛みを和らげても、その負担の発生源が残っていれば、 同じ場所にまた負担が集まり、症状が戻ります。 これが「治りきらない股関節痛」が起きやすい理由の一つです。

病院の検査で「骨に異常はない」と言われた経験がある方は少なくありません。 画像検査は骨や関節の状態を確認するために重要ですが、 腸骨筋や大腰筋といったインナーマッスルの緊張は画像には映りにくいものです。 「異常なし」は「問題なし」ではなく、「画像で見える異常はない」という意味です。

なぜ分析が必要なのか

同じ股関節の痛みでも、大腰筋由来か、腸骨筋由来か、 両方が絡み合っているのかによって、身体に起きていることは違います。

腰の痛みの有無、しびれの分布、痛みが出る動作によって、 必要なアプローチも大きく変わります。

分析なしに施術を始めることは、地図なしに目的地を目指すようなものです。

原因例

〈表層問題〉
腸骨筋・大腰筋(腸腰筋)の過緊張、これによる股関節の痛み・可動域制限、 大腿神経・外側大腿皮神経・坐骨神経などへの圧迫による足の神経痛

〈深層問題〉
長期間の大腰筋の過緊張が腸骨筋にまで波及し、両方が過緊張化している状態、 足を上げる・蹴るなど股関節を反復して使う動作による腸骨筋単独の損傷、 姿勢や骨盤の傾きによる腸腰筋への慢性的な負担集中、 ヒラメ筋・内側広筋・大腰筋の弱化を代償するかたちで腸骨筋が過剰に緊張するケース (デスクワークの方や、歩行運動をしていない高齢者に多い)、 大腰筋を痛めた際の緊張が、そのまま腸骨筋に残存しているケース

必要な確認と分析

  • 股関節の屈曲・外旋の可動域と痛みの有無
  • 腰の痛みの有無(大腰筋由来か腸骨筋由来かの鑑別)
  • 大腿神経・外側大腿皮神経・坐骨神経領域のしびれの分布
  • 梨状筋・大腰筋など背面側の筋緊張の状態
  • 症状が出る動作パターン(蹴る・足を上げる・立つ・座る)

これらを総合的に確認することで、 「今この方の股関節に何が起きているのか」が整理されてきます。

なぜ腰の治療をしても股関節の痛みが残るのか

腸骨筋による股関節痛が長引きやすいパターンの一つとして、 次のようなループがあります。

大腰筋の過緊張 → 腸骨筋への波及・共同過緊張 → 大腿神経など周辺神経への圧迫 → 股関節痛・足の神経痛 → かばい動作 → 股関節まわりへの負担集中

このループの中で特に重要なのが、「大腰筋と腸骨筋は ほぼ同じ場所・同じ動きの筋肉である」という点です。

片方の緊張が長く続くと、もう片方も引きずられるように 異常な緊張状態になっていきます。腰の症状として自覚していても、 実際には股関節側の筋肉まで巻き込まれているケースが少なくありません。

ただし、これはあくまで一例です。 実際にどこにどのような負担がかかっているかは、 一人ひとり確認する必要があります。

鍼治療の施術イメージ 新潟すばる鍼灸・リハビリ整体
全身運動で身体をうまく使えるようにする
姿勢分析
運動療法イメージ 新潟すばる鍼灸・リハビリ整体

「何をすれば治る」ではなく「今の身体に何が必要か」

腸骨筋による痛みは、大きく2つのタイプに分けられます。

急性・単独損傷タイプ
足を上げる・蹴るなどの動作で腸骨筋のみを痛めた状態です。 腰には痛みがなく、股関節を中心とした症状に留まります。 股関節まわりへの鍼治療で緊張を緩めることが有効です。

慢性・波及タイプ
長期間の大腰筋の過緊張が腸骨筋にまで波及し、 両方が過緊張化している状態です。 大腰筋だけでなく腸骨筋への刺鍼も必要になりますが、 まずは梨状筋・大腰筋など背面側からの治療を優先し、 改善が見られない場合に腸骨筋への刺鍼で変化を確認していきます。

弱化代償タイプ
長期のデスクワークの方や、歩行運動をしていない高齢者に多いタイプです。 ヒラメ筋・内側広筋・大腰筋といった、股関節や膝を支える筋肉が 弱化し、その負担を代償するかたちで腸骨筋だけが過剰に緊張します。 このタイプでは、腸骨筋を緩めるだけでなく、 弱化した周辺の筋肉を鍛え直すことが再発予防に不可欠です。

改善への4STEP

STEP1|分析
股関節の可動域、腰の痛みの有無、しびれの分布を確認し、 大腰筋由来か腸骨筋由来かを見極めます。

STEP2|緩める
過緊張した腸骨筋・大腰筋を鍼治療で緩め、 周辺神経への圧迫を解消します。

STEP3|鍛える
股関節まわりを支える筋力を回復させ、 腸腰筋に負担が集中しにくい身体をつくります。

STEP4|再発させない
姿勢・動作のクセを修正し、 股関節の痛みや足の神経痛が繰り返されない身体をつくります。

鍼治療の施術イメージ 新潟すばる鍼灸・リハビリ整体
運動療法イメージ 新潟すばる鍼灸・リハビリ整体

腸骨筋による痛みは、股関節の痛みだけでなく、 足の神経痛(しびれ・痛み)の原因にもなります。

足に向かう神経のほとんどは、腰椎や仙椎から出て、 大腰筋と腸骨筋の間を通って臀部や足に向かいます。 そのため、大腰筋と腸骨筋の緊張によって神経が圧迫され、 大腿神経・外側大腿皮神経・坐骨神経など、 複数の神経に痛みやしびれが起こることがあります。

当院では、明らかに腸骨筋が原因と思われる場合を除き、 まず大腰筋や梨状筋など背面側の筋肉を重視して治療します。 それでも改善が見られない場合に、腸骨筋へ刺鍼して 変化・改善を確認していきます。

腰が痛いのに、なぜ股関節の前側に鍼を刺すのか。 不思議に感じられる方も多いのですが、これは大腰筋と腸骨筋が ほぼ同じ場所に付着し、ほぼ同じ働きをする筋肉であり、 どちらか一方だけを緩めても改善しないケースがあるためです。 施術の際は、その理由を一つひとつご説明しながら進めます。

鍼治療で腸骨筋・大腰筋の緊張を緩めても、 股関節を支える力が戻らなければ、 同じ負担が股関節まわりに集中し続けてしまいます。

リハビリ整体では、

  • 股関節まわりの可動性の回復
  • 骨盤・体幹を支える筋力の強化
  • 蹴る・足を上げるなどの動作の再学習
  • 日常動作でのセルフケア指導

という流れで、股関節痛や足の神経痛が 繰り返されない身体づくりを進めます。

よくある質問

Q. 腰は痛くないのに、なぜ股関節の前側に鍼をするのですか?

大腰筋と腸骨筋は、ほぼ同じ場所に付着し、ほぼ同じ動きをする筋肉です。 片方の緊張が長く続くと、もう片方も異常な緊張状態になるため、 大腰筋だけでなく腸骨筋も緩める必要があるケースがあります。 症状が出ている場所と、緊張の発生源が違うために起こる治療です。

Q. ぎっくり腰と、腸骨筋の痛みはどう違いますか?
ぎっくり腰は大腰筋の痙攣によるもので、股関節が伸ばせず、 腰の痛みで立てなくなるのが特徴です。 一方、腸骨筋単独の痛みは、蹴る・足を上げる動作で発症しやすく、 腰には痛みがなく、股関節の痛みや膝が上がらない症状として現れます。

Q. 坐骨神経痛と診断されましたが、腸骨筋が原因のこともありますか?
あります。足に向かう神経の多くは、大腰筋と腸骨筋の間を通るため、 この筋肉の緊張によって坐骨神経が圧迫され、 坐骨神経痛のような症状として現れることがあります。 背面側の治療で改善しない場合、腸骨筋側の関与を確認します。

Q. スポーツで再発しないようにするには、どうすればいいですか?
蹴る・足を上げるといった動作を繰り返すスポーツでは、 腸骨筋・大腰筋への負担が集中しやすくなります。 緊張を緩めるだけでなく、股関節まわりを支える筋力を回復させ、 正しい動作パターンを身体に覚えさせることが再発予防につながります。

Q. 何回くらいの治療で改善しますか?
腸骨筋単独の急性損傷であれば、数回で大きく改善することもあります。 大腰筋からの波及で慢性化しているケースでは、 背面側からの段階的な治療が必要になるため、 まずは現状の身体の状態を確認したうえで見通しをお伝えします。

-適応疾患
-, ,